アマチュ無線を楽しんでいる我々として、予てから、ラジオジャパンの短波放送送信所であるKDDI八俣送信所の施設を見学させてもらいたいとの希望を持っていました。
今年はMLウェーブクラブ結成20周年であることから、記念事業として何とか実現したいと強く思っていたところ、幸いにも知り合いの方が当該送信所に勤務していることを知り、早速コンタクトしてお尋ねしたところ、平日であれば何とか対応できるとの連絡を頂きました。
早速クラブメンバーに参加募集をしたところ、平日にも拘わらず6名の方に参加して頂けることになりました。 参加名簿等、必要事項の事前申請を行い施設見学が実現しました。
見学の様子についてはクラブメンバーに訪問記を纏めて頂きましたのでそちらを参照願います。
当日は、会議室での説明と各施設の案内等、いずれも丁寧に対応して頂き本当にありがとうございました。
あらためて八俣送信所の方々のご配慮に参加者一同深く感謝申し上げます。
2013/4/25
MLウェーブクラブ会長
7K3GNL 捧 承人
ラジオジャパン短波送信所(KDDI八俣送信所)見学記
2013/4/27 JA7CIS 倉本道德
MLウェーブクラブ結成20周年記念事業として見聞及び知識を広めるため、短波送信所の見学をさせていただきました。
1.実施日と施設概要
(1) 見学日時 4月25日(木)10時20分から12時00分
(2) 場 所 KDDI八俣送信所
茨城県古河市東山田4428
(3) 参加者等 7K3GNL捧、JA1QKW横島、JH1AGL黒坂、7L4CNQ深澤、
JE1PYH古橋、JA7CIS倉本
(4) 車両関係 6名が車両三台に乗車し、深澤車両は取手から,
古橋車両は野田市の異なる位置からそれぞれ出発。
捧後発車両は、取手駅前から8時30分出発でした
が、三台がほぼ同到着。
(5) 案内資料情報
敷地面積 約1,000,000㎡(約30万3千坪)
局舎(送信機棟等) 約8,250㎡
送信空中線 カーテンアンテナ×15、ログぺリアンテナ×3
* カーテンアンテナ:多線式折り返しダイポールを
放射素子とする一種のアレイアンテナ。
空中線支え鉄塔 張られるカーテンアンテナを支える鉄塔は、
約35m~70m自立式トラス鉄柱32本。
(内35mクラスが11本、70mクラスが21本)
送 信 機 300KW送信機5台、100KW送信機2台、
国産 メーカー:国際電気「現 日立国際電 気」
プレート・スクリーン同時変調方式。
2.見学当日の様子と興味深かったこと
短波送信所見学計画が示された時、日頃からアンテナについて関心がありましたので、この機会を利用して各種アンテナ等の見学で見聞を広め今後に生かそうと思いました。
走行途上のアンテナ
八俣送信所をめざし車両移動中、「紅白の鉄塔群」が眼に入ってきました。鉄塔は見えるもののアンテナ線がなかなかはっきり見えません。しばらく走行してやっと「KDDI八俣送信所」という看板を確認、入ろうとしたところで古橋車両と合流。間もなく捧車両が到着。
施設見学
予約時間前であったが、到着と同時に局舎受付で受け付け手続をする。完了すると、案内担当者数名が出迎えてくれ、送信管等展示された資料室に案内された。送信所概要の説明をうけたあと、局舎屋上に案内され、局舎屋上から見学。さらに局舎内放送監視・制御室、送信機室、変調室、部品保管室と見学、そして屋外敷地を移動して、カーテンアンテナ等見学した。
特に印象深かったこと は次の通りです。
(1) 送信機ルーム
送信機は扉の付いた中に収容されており、何重にも人的安全対策がほどこされたものです。当初金属箱に収容されて見るべきところがないものと先入観をもっておりましたところ、なんと見慣れた記号が眼に入りました。送信機回路図に出てくる回路図が送信機収納パネルに表示され、送信高周波の流れとΠ(パイ)同調回路表示、フェルタ―回路を経由給電同軸ケーブルへと接続されていて、ランプ等で動作状況が監視確認出来るようになっている。PCコントロールされている種々の機器の中で最も身近に理解できるところでした。
さらに背面にまわりΠ(パイ)同調回路のLCの説明を受ける。実動操作でL部分とC部分が電動で可変され、周波数等の変更時即座に対応できることが確認できた。
送信管等の冷却配管が多数ありました。ハイパワー設備なので、送信機は二重扉となっており、局舎シールドも施されていました。
ダミーロード設備は、さぞかし大きな抵抗器を使用しているものと思っておりましたが、通常私たちが使用しているような抵抗器によるダミーロードではなく、ソーダ溶液を数十度の一定温度にすると、50Ωになることを利用して、そこにパワーを入れ、温度変化を換算表で読み取って出力等を確認する。これで、送信機とアンテナ等の異常を確認できる。
(2)変調設備ルーム
変調設備ルームは、送信機ルームとは別になっている。変調設備ルームの扉を開けると迫力のある大音量がながれている。モニタースピーカがどこにあるのか見回している と、担当者から説明がありましたので、近づいて聞くと、「変調トランス」、「チョーク」 から出ているとのことで、驚きました。むかしA3で「チョーク変調」やった時は、かすかに聞こえたようですが、大音量できれいにはっきり聞こえたのに驚きました。特高変電設備のような大きなものでした。
(3)給電ケーブル
1)給電同軸ケーブル
バケツのような太さの同軸ケーブルは、1m30万円相当のもので、さぞかし重量の あるものと思いきや、内部芯線は、空洞で乾燥空気を送気して湿気でSWR等が変化しないようにしたものであり、また、芯線と外側シールド線は、線と言っても銅管で出来ており、相互間は絶縁スパイラル材で等間隔に維持されている。給電同軸ケーブルを延長時多少の屈曲が出来るようにしたもので、高額であることから、局舎外に出たあとは、300Ωに変換されます。
2)300Ω給電ケーブル
同軸50Ωから300Ωにインピーダンス変換され、太いワイヤー式ケーブルで給電されるのですが、途中何度かアンテナル―ト切り替え器で切り替えられてアンテナに接続される。
(4)送信アンテナ関係
敷地内を全員で歩きカーテンアンテナの前に案内され、説明が始まりました。説明を 聞いていても、なかなかその部分が特定できないほどの多線式折り返しダイポールで、これを放射素子とする一種のアレイアンテナです。
見学位置から見るとアンテナ線類は細く見えるが、300Ω給電ケーブルを眼の前にすると、それを辿ってアンテナ側に眼を転じれば如何に重量のあるものか想像できる。自立鉄塔は、莫大な重量を支えている。
重量及び風圧を計算に入れ、鉄塔から滑車で全体を支え、地面側に重りをさげバランスをとっている。
アンテナ線類は太めの同軸ケーブルくらいに考えておりましたが、その何倍もの太さと重量のものでした。
(5)施設・敷地管理等
老朽化した施設かと思っておりました。外装がきれいで、内部もしっかりした構造に見えました。廊下は、塵ひとつ落ちていない。事務室と放送監視・制御室は離れた別部屋となっており、放送監視・制御室は余裕のある広い環境でした。
敷地内整備もしっかりなされており、皇室関係者植樹のものも維持されておりました。
局舎屋上での説明案内を含め、長時間にわたり懇切丁寧にご説明案内をいただきましたことを参加者全員になり代わり感謝申し上げるとともに、今後もこのような機会を頂ければと願っております。担当者の皆様に感謝申し上げます。
以上